特定原子力施設監視・評価検討会63回会議(2018年09月14日)傍聴メモ

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特定原子力施設監視・評価検討会の第63回会議が2018年9月14日に開催されました。

会議での配布資料は原子力規制委員会のサイトに掲載されていますので、そちらをご参照ください。また、会議の映像も配布資料とともにアップロードされており、当日の検討会の模様をご覧いただけます。

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/

以下は、かつて福島原発行動隊(SVCF)の原発ウォッチャーを務めたT.M.氏による会議メモです。なお、メモの内容は会議での議論・資料をそのまま追ったものではなく、あくまでもT.M.氏が重要と判断したものを編集したものです。

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議題1.建屋滞留水処理及びフランジ型タンク内のSr処理水の処理に関する進捗状況につついて

議題1-1.建屋滞留水処理及びフランジ型タンク内のSr処理水の処理

小林(東京電力):が資料1-1に基づいて説明した。

・建屋滞留水は現在5万トン弱である。
・4基の連通部は遮断した。
・過去に漏洩のあったフランジ型タンクの浄化(Sr除去)は2018年11月に完了する。
・建屋内滞留水は水深50cmまでは処理方針が立っているが、それより浅い推移に適したポンプと被曝に留意した作業方法を検討中である。

この説明を受けて以下の質疑が行われた。

山本(外部専門家):高濃度の3号機滞留水抜取りや濃度低減についての方策はどうなっているか。

小林、徳間(東京電力):留意している。サリーを使って濃度低減・還流を実施している。

高坂(外部専門家):処理装置能力はタンク建設速度と同じ600㎥/D。処理装置能力を上げて処理の迅速化は図れないか。

山形(規制委員会):建屋滞留水はフランジタンク滞留水の1億倍の汚染濃度がある。「科学的」なリスク低減の観点から見て作業の優先順位がおかしくないか。

梶山、比良井(東京電力):指摘は理解できるがフランジタンクには漏洩の経験がある。地元対策上おろそかには出来ない。

蜂須賀(外部専門家):地元民としては「科学」とは別にして「漏洩」には敏感だ。

高坂(外部専門家):フランジタンク問題は排除できない。建屋滞留水処理計画(下図参照)ステップ3の床面露出までの工程についてポンプ増強などで処理を急げないか。

建屋滞留水処理の今後の処理計画

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小林(東京電力):ポンプの配置とくみ上げには地上から10m吊るした状態での作業になり(下図参照)、現在作業計画立案中である。

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山形(規制委員会):ポンプは水深50cmまででなく、より低水位まで引けるものもある。

徳間(東京電力):真空ポンプなら可能であるが、吸込み量が落ち流入水量とのバランスに問題がある。

議題1-2.1/2号機山側サブドレンのトリチウム濃度上昇への対応状況

1.都築(東京電力):が資料1−2をもとに説明した。

1、2号機山側(排気塔設置箇所周辺)のサブドレンでトリチウム濃度max4万Bq/L(告知濃度6万Bq/L)が検知された。建屋西部に北から南への拡散を防ぐための拡散防止壁の建設を計画中である。

この説明を受けて以下の質疑が行われた。

徳永(外部専門家):事故以来の地下水の流れの経緯から拡散防止壁の位置を決めたと思うが、流量と線量の結果についての予測はどんなものか。

都築(東京電力):データを取りまとめて次回に報告する。

田中委員:トリチウムを検査対象にしているのは、セシウムだと土壌付着の可能性があるためか。

都築(東京電力):その通りだ。

高坂(外部専門家):サブドレン206周辺の水位が高いが、1号機への流入は少ないのか。

都築、梶山(東京電力):流入量は少なく5ton/D程度と考えられる。

議題2.雨水流入対策の進捗状況

大津(東京電力)が資料2に基づいて説明した。

雨水排水浄化については建屋雨樋の垂直部にゼオライトを吸着剤とした管路を設置し、Cs137を約1/50に低減させることを計画している。屋根の雨水抑制では3号機タービン建屋が「上屋瓦礫撤去計画中」ともっとも遅れている。

この説明を受けて以下の質疑が行われた。

高坂(外部専門家):3号機タービン建屋上屋工事の困難性は理解できるが、1、2号機の工期はより短縮できないか。

大津(東京電力):1、2号機についてはタービン建屋上屋の止水工事中である。

議題3.地震・津波対策の進捗状況

矢羽野(東京電力)が資料3に基づいて説明した。

建屋開口部・全122箇所(閉止済み61箇所、閉止予定26箇所、検討22箇所、困難箇所13)を1〜4号機毎に図示した。

1号機建屋開口部(2〜4号機については省略)

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津波流入量は千島海溝津波で6万㎥、3.11津波で21.1万㎥と考えられ、箇所の性質別の作業被曝線量を算出した。

千島海溝津波に対応した湾岸防潮堤の素案を提示した。

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この説明を受けて以下の質疑が行われた。

山本(外部専門家):場所別の優先順位設定が重要である。3号機は滞留水も残存し作業環境に問題が残る。

矢羽野(東京電力):3号機に対しては、別途作業計画を検討する予定としている。

高坂(外部専門家):津波流入と被曝量から見て(下図参照)、原子炉建屋と廃棄物建屋の密閉工事は困難というのが東電の見解と思える。

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防潮堤は千島海溝地震対策として重要だが、図示より北に堤を伸ばす必要がある。

橘高(外部専門家):開口部を閉鎖しても地表到達津波が地下水化するのではないか。完全止水の計画を提出して欲しい。開口部閉鎖は第一段階だ。

増田(東京電力):今回の資料は開口部閉鎖の効果を示すもので、地下水化は考慮外である。

小野(東京電力):千島海溝津波は切迫していると認識して対策を立案中である。

蜂須賀(大熊町商工会会長):防潮堤の検討は地元として心強い。

議題4.3号機燃料取扱機設備の不具合原因調査状況

1.田中(東京電力)が資料4に即して説明した。

8月8日、3号機燃料取出し装置を規制委員会立会いで使用前検査中に、燃料把握機(マスト)に作動不具合が発生したため、検査を中止して原因調査を行った。その結果、マストのロープ制御ケーブルの接続部に断線と異物を確認した。接続部への雨水浸入が原因であると判断される。設計仕様と品質の要求と管理を再検討する。

この説明を受けて、以下の質疑が行われた。

高坂(外部専門家):分析は十分だ。水平展開で考えれば、4号機の燃料取出しがスムースに行われたのに対し、3号機でなぜトラブルが起きたのか。

田中(東京電力):部材に海外調達品が入り、品質確認が不十分だったと考えられる。

今井(規制委員会):普通の原発の品質管理から逸脱している。次回に詳細報告をして欲しい。

南山(規制委員会):作業環境の4号機との違いも検討して欲しい。

山形(規制委員会):「品質管理」がトップダウンの社是であることは発電所でも一般企業でも定着している。これが東電の品質管理の水準なのか。

小野(東京電力):厳しい言葉を頂いた。リーダーシップを含めて点検する。

田中規制委員会委員:「海外調達」を理由に挙げるのは見苦しい。襟を正して報告をして欲しい。

 

(総括所見)

議題1~3は「水への放射性物質拡散防止」がテーマと言える。滞留水処理については相当に煮詰まった作業内容になっているが、増え続けるトリチウム含有水の処理については、この場の議論から外れており、リスク評価としては不均衡になっている。

議題3の津波対策は、具体性に欠けていて「画にかいた餅」に見える。検討会翌日の一般紙は「防潮堤建設」を取り上げていたが、規模・労働力・資機材の総量やその交通に至るまで、今は白紙でアイディア段階としか思えない。

議題4「燃料取扱機の不具合原因調査」はプラグに水が入っていたとのこと。設計に始まる品質管理に問題があったと考えられ、「海外調達」に原因を回避する姿勢に大きな疑問を感じた。

また、傍聴者に配布された縮小コピー資料72頁中、後半の30頁は「リスク低減マップ」で、膨大で詳細なものだが説明はなかった。このリスク全体の進捗については、別の場で俯瞰的に状況を把握・検討すべきかも知れない。

以上

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