特定原子力施設監視・評価検討会 第45回会合(2016年8月18日)傍聴メモ

特定原子力施設監視・評価検討会 第45回会合(2016年8月18日)傍聴メモ

特定原子力施設監視・評価検討会の第45回会合が8月18日に開催されました。

会議での配布資料は原子力規制委員会のサイトに掲載されていますので、そちらを参照してください。また、会議の映像もすでに配布資料とともにアップロードされており、当日の検討会の模様をご覧いただけます。

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/

以下は、福島原発行動隊(SVCF)の原発ウォッチャーを務めたT.M.氏による会議メモです。なお、メモの内容は会議での議論・資料をそのまま追ったものではなく、T.M.氏が重要と判断した議論を編集したものです。

 

議題1.建屋滞留水処理の進め方について(資料1)

伊藤(東京電力)が建屋滞留水について、2020年までの水量・線量濃度・総線量の推移の計画について説明した。また「中長期ロードマップ」でのマイルストーンとの関連も説明した。さらに、タンクの新設・リプレースを含めた「水バランス」シミュレーション結果を提示した。

この後、説明を受けて質疑が行われた。

更田(規制委):p. 9の建屋内滞留水量(2020年3月に6,000㎥)、p. 16の建屋内滞留水放射性物質総量(2020年3月で0)、p. 27の水バランスについて、いずれも計画の達成を見守るべきなのか、それとも加速を要求すべきなのか。前回の検討会で規制委は技術的に問題の無い「タンク増設」を要求したが、これについてはどうか。この資料によれば、東京電力は流入量制御を対策の中心にしているように見えるが。

増田、伊藤(東京電力):タンクのリプレースに注力しつつ、流入量と汚染濃度を減らして「タンク容量立則」を外したいとの思いがある。新タンクの立地には被曝など安全問題が存在する。

更田委員(規制委):資料全体が計画であり、記載されている数値を「目指す」のか「達成出来る」のかが判然としない。規制委は「出来ることを実施する」のが任務である。p. 16は出来ることなのか。

湯本(エネルギー庁):マイルストーンとして提示している。

高坂(外部専門家):タンク増設のネックはセシウム処理装置SARRYの処理能力(一日あたり800㎥)にある。モバイル処理装置を増設することを検討してはどうか。

増田(東京電力): SARRYの能力不足はKURION稼動で補完するつもりである。

山本(外部専門家):p. 10の放射性物質低減傾向の鈍化の原因は何か。復水器(Hot Well)内の高線量滞留水が原因なら、建屋内滞留水を汲み上げだけでは低減しないのではないか。

磯貝、伊藤(東京電力): 復水器からの直接吸水やデブリからの汚染も検討中である。

徳永(外部専門家): p. 9の「地下水位/建屋水位」低減計画の裏づけは何か。

磯貝(東京電力): 次回、資料を提出する。

橘高(外部専門家): p. 27の「地下水他流入量」に与える凍土壁・サブドレンの影響はどうか。

磯貝(東京電力):凍土壁の効果発現が前提である。

橘高(外部専門家):凍土壁の効果でなくてサブドレン効果の増加ではないか。

増田(東京電力): サブドレンは水位制御が目的であり、凍土壁で水位半減を期待している。

更田(規制委): 東電のいう「重層的対策」には、以前から疑義を呈している。規制委は「タンク増設」を技術的問題とは別に要求する。

 

議題2.地震・津波対策の実施状況(資料2)

山口(東京電力)が既往事象(地震600Galで津波15m)と既往超事象(地震900Galで津波26.3m)への対応状況と今後の方針について説明した。

説明を受けて、以下のようなコメントがなされた。

更田(規制委): p. 4の「燃料取出し新設備」を地震600gal、津波15m対応で設計することは了解した。

高坂(外部専門家):p. 9の「スケジュール」で2017年度末「実施成否判断」が妥当か。

 

議題3.海側遮水壁の現状と港湾のモニタリング状況について(資料3)

都築(東京電力)が前回の検討会での高坂(外部専門家)からの質問への調査結果の回答を説明した。

これを受けて高坂(外部専門家)から以下の発言があった。

高坂(外部専門家):状況は理解した。ただ、排水路から汚染水が港湾に流出していることに留意して欲しい。

 

議題4.陸側遮水壁の状況(資料4-1及び4-2)

百瀬(東京電力)が、凍土壁の建設と効果発現状況を報告し、前回の橘高(外部専門家)からの質問に対し「凍土壁は完全閉合に向っている」と回答した。

この説明を受けて質疑が行われた。

更田(規制委): 資料から凍結止水効果は認められない。橘高(外部専門家)からの質問に対し既知の事項で回答とするのは失礼だろう。

橘高(外部専門家): 回答は計画当初の考えであり、陸側遮水壁の「遮水機能」は破綻していると考える。4m盤への未凍結流入箇所の工事状況を知りたい。

百瀬(東京電力): 建設当初の岩石投入などで地質状況が異なっており、単純凍結が困難となっている。資料(資料4-2、p. 48)にあるように補助工法の実施で確実に温度低下している。

徳永(外部専門家):温度低下と流量(漏水量)についての関連性の仮説理論化が必要である。

蜂須賀(福島県住民): 東電の説明は「やれない理由」「やらない理由」に終始している。地元としては「やれること」の提示と実施を切望している。

増田(東京電力): 工夫・努力はしているが、「出来ない」が中心の表現になっていることは反省する。

最後に、更田(規制委)が以下のような総括を行った。

タンク容量増加について」明確で具体的な説明を要求する。汚染濃度低下についての検討が脆弱であると感じる。エネ庁との「中長期計画検討」の場とは異なり、規制委はリスクの秤量とその減少の具体的実施が使命であり「マイルストーン」の考えは取らない。

傍聴者所見:規制委の「汚染水リスクの低減」要求が強まり、東電はエネ庁との「中長期計画」との整合性に苦慮している。「凍土壁」については「海水配管トレンチ」と同様、「水温・流速・凍結」の関連把握が必要である。

以上

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