特定原子力施設監視・評価検討会 第44回会合(2016年7月19日)傍聴メモ

特定原子力施設監視・評価検討会 第44回会合(2016年7月19日)傍聴メモ

特定原子力施設監視・評価検討会の第44回会合が6月2日に開催されました。

会議での配布資料は原子力規制委員会のサイトに掲載されていますので、そちらを参照してください。また、会議の映像もすでに配布資料とともにアップロードされており、当日の検討会の模様をご覧いただけます。

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/

以下は、福島原発行動隊(SVCF)の原発ウォッチャーを務めたT.M.氏による会議メモです。なお、メモの内容は会議での議論・資料をそのまま追ったものではなく、T.M.氏独自の視点からのものです。

議題1.陸側遮水壁の状況(資料1)

中村(東京電力)が陸側遮水壁の状況について説明した。100頁を超える資料に沿って、海側凍土壁の補助工法も含めた施行状況と山側凍土壁の現状を説明し、全面閉合(第二段階)への移行の確認事項(p. 31)を提示した。また、「建屋への地下水(降雨も含む)流入量・汲み上げ量の推移」(p. 14)によれば、4m盤のドレン汲み上げ量は7月1日時点で200~300㎥/日と説明した。

この後質疑が行われた。

更田(規制委):第二段階への移行条件が曖昧である。4m盤への流入量「減少傾向」では条件と云えない。東電として数値目標は示せないのか。

松本・中村(東京電力):降雨の4m盤到達には1ヶ月のタイムラグがある。海側凍土壁完全遮水時での4m盤汲み上げ量70㎥/日あたりが目標と言える。

更田(規制委):現在の200~300㎥/日は論外だが、100㎥/日までの減少が指標なのか。

高坂(外部専門家):4m盤水位低下で鋼管遮水壁を介した海水との交流が懸念される。

更田(規制委):この場の議論範疇から外れるが、鋼管遮水壁の密封性とメンテナンスについては東電でチェックして欲しい。

徳永(外部専門家):凍結未完部分について土壌環境・障害物など想定範囲内か。未凍結部分に対する補助工法で投入物量と時間の予定はどのようになっているのか。

中村(東京電力):凍結未完要因は想定内である。補助工法採用箇所の半分は低温化が見られる。あとの半分について追加工事が必要である。

高坂(外部専門家):凍土壁は100%閉合を目的としていた。補助工法も低温化に反する事態もあると聞くが。

中村・松本(東京電力):凍土壁は100%閉合を目標にしたが、目的は流入量減少であり、補助工法採用に矛盾はない。一部の高温化はボーリング発熱と考えられ、対処している。注入剤は当初短時間固化を狙ったが、拡散不十分な箇所もあり、流動性を増したものを追加工事で使用する予定である。

橘高(外部専門家):凍結完全閉合が困難なら、タンク増設との関連から、長期安定性のあるコンクリート遮水壁への計画変更も考慮すべきである。(欠席につき事務局が代読した。)

磯貝(東京電力):凍土壁はサブドレンとの組合せで地下水を制御することが目的である。

今井(規制庁):降雨の影響が大きすぎるように思えるが。

松本(東京電力):壁内はFacingも少なく、強雨なら100㎥/日の流入影響がある。

徳永(外部専門家):逆に降雨が少なければ建屋水位との逆転を防ぐ注水が必要ではないか。

中村(東京電力):注水井の効果は確認済みである。具体的な制御法は今後の課題である。

更田(規制委):建屋内の高線量滞留水のリスクが最も大きい。このリスク低減のために、①濃度を下げ、②量を減らす方策を検討するよう東京電力に要求する。具体的に云えば、

(1) ALPS、ROを用いて線量を下げ、建屋に戻す。

(2) 建屋内滞留水を2回汲みかえ、トリチウム含有水にまで処理し、12万㎥分のタンクを増設する。もしも事態が硬直するなら設置命令を出す。

(3) 建屋床の底上げを検討する。(水深低下による滞留水減少を狙う。)

高坂(外部専門家):建屋内滞留水の移送を考えていると聞くがどうなのか。

更田(規制委):高線量水の移送はリスクが大きい。

 

議題2.ALPS処理水のタンク貯留継続の廃炉作業に与える影響(資料2)

山口(東京電力)が資料1頁の表について説明した。

蜂須賀(福島県住民):現在のタンク(2000㎥級)を大型化することは出来ないのか。

松本(東京電力):容量と建屋との関係を検討はしているが。

 

総括所見:「凍土壁」は、数回前から「遮水壁」の呼び名に統一され、「凍土」+「薬剤注入遮水」が前提になってきた。技術の危うさを見込んだ規制委側の誘導もあるが、海水配管トレンチの結末に似てきている。事故処理という逐次性要因は考慮する必要があるが、10m四方程度の凍土壁実験の成功で計画を推進した鹿島・東電・エネ庁の責任と評価はどうなるのか。

以上

 

 

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