特定原子力施設監視・評価検討会 第42回会合(2016年4月25日)傍聴メモ

特定原子力施設監視・評価検討会の第42回会合が4月25日に開催されました。

会議での配布資料は原子力規制委員会のサイトに掲載されていますので、そちらを参照してください。また、会議の映像もすでに配布資料とともにアップロードされており、当日の検討会の模様をご覧いただけます。

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/

以下は、福島原発行動隊(SVCF)の原発ウォッチャーを務めたT.M.氏による会議メモです。なお、メモの内容は会議での議論・資料をそのまま追ったものではなく、T.M.氏独自の視点からのものです。

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議題1 地震・津波対策の実施状況(資料1)

立岩(東京電力)が、東電の検討優先順序(①燃料デブリ、②使用済み燃料、③地下滞留水, ④タンク内汚染水)に従って状況を説明した。条件は震災規模(地震:600Gal、津波:15m)。

この後、質疑が行われた。

山本(外部専門家):(1)検討対象による余裕時間の差異、(2)リスク対応人員と訓練状況、(3)構内作業員の避難計画はどうなっているのか。

立岩・松本(東京電力):(1)デブリと使用済み燃料の冷却には余裕がある。(2)対応要員のデータは手元にないが、重要免震棟に要因が在駐している。(3)構内作業員の35メートル盤への避難訓練は実施している。

橘高(外部専門家):建屋の耐震性には差がある。地震計の設置は完了したか。

松本(東京電力):1〜4号機で地震計は喪失し、振動加速度の測定は不能である。設置計画はあるが環境が厳しく未実施である。

蜂巣賀(外部専門家):熊本地震に関連して地元民は建屋の安全性をもっとも心配している。

松本(東京電力):補強計画もあるが、実施に移せていない。地元の心配は重く受け止めている。

高坂(外部専門家):この会で提示した「検討用対象(地震:900Gal、津波:26.3m)」についても東電として検討スケジュールは示すべきではないか。

安井(規制庁):防潮堤機能は震災時と大差ない。汚染水流出が最大の問題である。

更田(規制委):東電の状況を事実ベースで示せ。「検討優先順位」は5年前のままでは不自然である。汚染水(汚染物質)の海洋流出阻止が最重要ではないか。燃料棒については「冷却」ではなく、「被覆管破損による汚染」が問題である。東電が「こわい」と考える順で検討願いたい。

議題2 タンクの運用計画(資料2)

山口(東京電力)が、運用中のタンクを貯留水・タンク形式で8種類に区分していることを説明し、その上で、それぞれの使用状況と溶接タンクへの交換状況を説明した。

これに対して更田(規制委)が以下のようなコメントをした。

(1)ALPS処理水の存在が汚染水のリスクを高止まりさせている、というのが規制委の見解である。「ALPS処理水が滞留水に与えている影響」に絞った東電の見解を聞きたい。

(2)汚染水処理の選択の方向は東電主導で計画されるべきものである。

(3)田中委員長は本件が「suspendable」な状況にあるのかどうか注視している。

(所見:東電の報告がタンク運用論に終始したのに対し、規制委は「ALPS処理水」の処理方針に踏み込んだ検討を要求した。トリチウム除去の具体的なプロセス提案がない以上、「希釈海洋放出」の根拠と方法論の提示が必要になるが、地元世論をはじめとして世界世論にいたるまで説得することは困難である。)

課題3 陸側遮水壁(凍土壁)の状況(資料3)

山口(東京電力)が以下のような説明を行った。陸側遮水壁・海側の全面と陸側の一部の凍結を3月31日に開始し、壁の内外(西・東)で有意な水位差が確認され始めた。確認を検証後、「フェーズ2」(陸側凍結により95%の凍結信頼区間を実現する)に移行したい。

以上の説明に関して質疑が行われた。

徳永(外部専門家):凍結開始により砂岩層の透水性に変化が見られる(温度低下)。想定と現実が矛盾している。壁内サブドレンの稼動が水位変動に影響しているのではないか。海水配管トレンチでの連通も見られる。

山口(東京電力):砂岩層の挙動は想定内である。サブドレンの稼動の影響は考えられる。

高坂(外部専門家):「フェーズ2」への移行は東電が専決するつもりか。

松本(東京電力):検討会で総合的に評価して頂きたい。

更田(規制委):東電のいう「遮水効果発現確認」(p. 25: 3項)について規制委は「未了解」とする。条件を整備し、データと共に再説明して欲しい。

(所見:東電資料は水位変化など静的測定に偏っているが、「凍土壁」効果発現の確認には連通部流速の変化など、動的な状況の変化が成否判定に重要になるのではなかろうか。)

 議題4.地下貯水槽周辺での放射性物質濃度の上昇について(資料4)

都築(東京電力):地下貯水槽には若干の残水があり、それが遮水シートから漏れ出していることを確認した。汚染土の改修と残水の移動を促進中である。

これに対して、更田委員から、タンクへの残水移動を早急に行うこととの東電への指示があった。

(総括所見:全ての議題で東電の作成資料と規制委・専門家が求める内容とに「ズレ」が見られた。東電は現場の作業状況の報告を基調にしていて、規制委・専門家の持つ「1Fのリスクの減少」の視点からずれている。「凍土壁」は次回までの状況変化が「評価」を左右しそう。「ALPS処理水」の処分にまで検討会が踏み込むのかも注目したい。)

                                                                          以上

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