特定原子力施設放射性廃棄物規制検討会の第3回会合(2016年3月17日開催)をM. T. とT. M.氏の2人が傍聴しました。以下、T. M. 氏による傍聴メモです。
なお、配付資料・参考資料は以下の規制委のウェブサイトに掲載されています。
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/00000025.html
このメモでは、資料からは離れた議論を中心に記録しています。
議事メモ
議題1.廃棄物発生量の見通しと今後の管理について(資料1)
石川(東電)が、性状による1次分類、処分方法による2次分類を行うことを説明し、また分類ごとに2028年までの累積発生量と処分減容について説明した。さらに、参考資料1に基づき、「焼却施設ホット試験の結果」について説明を行った。
質疑に入り、以下のようなやりとりがあった。
井口(専門委員):1次、2次分類とは別に発生源情報の記録はあるか。
石川(東電):ある。発生エリアも処分の際の参考にする。
稲垣(専門委員):30mSv/hを高線量の上限にしているが、最高値はどれほどか? 放射線分解の可能性はないのか?
石川(東電):数100mSv/hまである。水分含有は少なく、放射線分解の可能性は低い。
田中(専門委員):焼却灰の核種分析の現状は?
石川(東電):γは一部分析した。β・αについては今後の課題である。
安井(規制委):焼却は保護服から始めているが、保護服の発生は今後減少する。物量と汚染線量からみて伐採木(葉枝を含む)を優先すべきではないか。保管状態も屋外積載であるし。
松本、石川(東電):線量は保護服max0.16mSv/hで葉枝0.2mSv/hより小さく、指摘の通りだが、保護服焼却から当初計画が出発した経緯がある。
山田(規制委):新設大型焼却炉(95t/d,1基)が原発標準の耐震Bクラスになっているが、1Fは特定施設であり焼却処分によるリスク低減を優先してグレードを下げても良いのではないか。
松本(東電):事故5年を経て設備の安全性要求は高くなっている。意外なご指摘だ。
山田(規制委):5μSv/h以下の処分について次回説明頂きたい。
(所見:大型焼却炉は説明の経緯からロータリーキルン方式と考えられる。保護服は形状が揃っているが、伐採木は不定形でキルン稼動条件設定が難しい。チップ化前処理が望ましいが、粉塵汚染の問題が残る。)
議題2 廃棄物の計測・分析について
石川(東電)が説明資料2−1を、小山(JAEA)が資料2−2を説明した後、質疑に入った。
井口(専門委員):資料2−1の3ページ「一時保管における計測・分析及び記録項目」の中に「核種組成が異なるものを分類」とあるが、一時保管の場合には事前に各種組成が分かるということか。また分布情報はあるのか。
石川(東電):αの有無、βの有無が分かるように分類する。分布情報までは現段階で入っていない。
井口(専門委員):資料2−1の13ページ 「α核種に関する検討状況」について、セシウムとαの相関評価に意味はあるか。
石川(東電):現段階ではデータ数が少なくて判断が出来ない。
田中(規制委委員):処分を考えると簡易なα測定装置の研究開発も検討すべきではないか。
佐藤(専門委員):分析施設で発熱性廃棄物も取扱うのか。
小山(JAEA):第2棟で取扱う燃料デブリが該当するが、握り拳大で処理し、熱蓄積は小さい。
安井(規制委):資料2−2、11ページによると分析能力は60~120試料だが。
松本(東電):東電計画では115試料/年程度である。能力増強はJAEAとの協議事項となる。
小山(JAEA):現在の予算ではこれが限界である。能力増強は「鉄セル」立則で、建屋としては現計画の4セル(2セルで1処理)だが、2セル増設のスペースは確保する(増設工期は1年程度)。
安井(規制委):分析装置は能力超過が起こりやすい。東電とJAEAで早期の協議をしてほしい。
田中(規制委委員):分析要員はどうなっているのか。
小山(JAEA)50~60人が従事者になるが、スキル養成に2年程度かかり、現在協力要請中である。
(所見:分析数の設定が東電(経産省・主管轄)、分析設備と作業がJAEA(文科省・主管轄)、作業認可が規制委、という三権分立が今後も問題になる可能性が高い。)
議題3 屋外集積可燃物(伐採木等)に対する火災対策について
今井(規制委)が現地視察での危険な状況を説明し、石川(東電)が資料3を説明した後、質疑に入った。
河井(専門委員):資料3の5ページによれば、発生監視は週1回の巡回になっているが、簡易なリアルタイム検知は採用できないか。
石川(東電):資料3の8ページにあるように40℃を越えたことはなく、安全性は担保されている。
松本(東電):リアルタイム検知についても検討する。
その他
リスク低減目標マップ(参考2)について今井(規制委)から説明があった。
本日の議事まとめをプロジェクタで確認した。
(総括所見:廃棄物量の削減が主要議題になっている。廃棄物量×線量がリスクの大きさを示すものと考えるが、その観点は重視されていない。分析施設について、燃料デブリの取扱まで含めているが、吸着塔は対象外になっている。「サリー」の高Cs含有吸着塔は燃料デブリ分析の時期(21世紀内)には最終処分のための格納形態変換が必要と考えるが。)
以上