特定原子力施設監視・評価検討会 39回会合(2016年1月27日)傍聴メモ

特定原子力施設監視・評価検討会の第39回会合が1月27日に開催されました。

会議での配布資料は原子力規制委員会のサイトに掲載されていますので、そちらを参照してください。また、会議の映像もすでに配布資料とともにアップロードされており、当日の検討会の模様をご覧いただけます。

http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/

以下は、福島原発行動隊(SVCF)の原発ウォッチャーを務めたT.M.氏による会議メモです。なお、メモの内容は会議での議論・資料をそのまま追ったものではなく、T.M.氏独自の視点からのものです。

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今回の検討会は、下記の2議題について規制委が作成した資料を説明して、有識者及び東電との見解の統一あるいは見解の相違を確認することを目的にしていた。

議題1.中期的リスクの低減目標マップの改定(案)
議題2.陸側(凍土)遮水壁の運用に係る設問事項及び評価

議題1.中期的リスクの低減目標マップの改定(案)(資料1-1及び1-2)

規制委から、H27.8月作成の初期マップに作業の進捗を加えてH28.3月版(案)を作成したとの説明があった。

更田委員: (1)海水配管トレンチ内高濃度汚染水の除去、(2)タンク内汚染水からの放射性物質の低減、(3)検討用地震動と津波高さの設定と対策、の3項目に成果があったと評価する。

この後、質疑がおこなわれた。

高坂・福島県委員:(1)構内に散在する少量の高濃度汚染水対策、(2)地震による建屋へのダメージと汚染拡散の可能性、(3)「仮設」の「本設」化の3点についてマップに記載することが必要なのではないか。

更田委員:(1)リスクレベルは低いが貯留水と別に「滞留水」のリスト化を検討する。(2)たとえ建屋ダメージでデブリ冷却が止まっても外部へのリスクが小さいことは推算出来る(東電に資料を作成するように指示)、(3)「本設」の定義は場所に寄って異なる。

蜂須賀・大熊町委員:(1)町民にとってダスト飛散リスクがもっとも重要である。(2)東電職員の態度が事故前に戻りつつあることを懸念している。(3)防護服着用基準が不分明で不安である。(4)情報開示が不十分である。

更田委員:(1)ダストモニタリングからダストキャッチ・生物影響評価に攻めの対策を検討する。(3)着用基準を明確化し開示する。(4)についてはリスクマップからは離れるが当然の要求である。

増田・東電責任者:(2)について、地元の信頼がもっとも重要でアリ、建直しとチェックを図る。

橘高・首都大委員:資料1-2「液体廃棄物」項のH32までに「処理完了」の意味は何か。

更田委員:東電の計画による「Dry Up」完了の意味である。

 

 議題2.陸側(凍土)遮水壁の運用に係る設問事項及び評価(資料2-1及び2-2)

規制委から、資料2-1に基づき、陸側遮水壁に関する論点を3カテゴリー15項目に分類し、説明十分(○印)が3項目、不十分(×)が6項目、未説明(−)が6項目、と評価区分したとの説明があった。

これに対して、東電から資料2-2に基づき、規制委見解に対して東電見解を追加して説明した。

引き続き審議に入り、以下の点が確認された。

下記5項目について東電の説明について理解が不一致であり、次回東電が追加・再説明する。

1.地下水水位変動の予測シミュレーションの予測能力が確認できないのであれば、絶対下限水位の設定と、それを基準にした水位の 制御方法について示すこと。

2.地下水水位変動予測のための境界条件の設定の妥当性(地質・地層・地下水流動の実測データを用いた検証結果)について示すこと。

3.管理すべき水位として、地下水水位を周辺サブドレンの最低水位、汚染水水位を建屋内汚染水水位の最高水位とする妥当性につい て示すこと。

4.高線量区域の存在等による地下水水位観測点の制約を踏まえても、建屋周辺の地下水水位が十分な精度で計測可能であることを 示すこと。

5.建屋周辺の地下水水位の変動速度に対し、漏えいが防止できる十分な建屋内汚染水水位の制御能力(速度、水位幅など)があることについて示すこと。

 

これに続いて意見交換が行われた。

安井・規制庁審議官:規制委と東電の見解が噛み合わない理由に、遮水工事の進捗速度など制御の時定数に係る運用手順が示されていないことがある。

増田・東電責任者:建屋領域の地下水は20万ton/Dの規模であり、ここで問題にしている量は200=1000ton/Dである。遮水壁の稼動は全地下水流動に大きく影響しないと理解している。

更田委員:凍結速度について東電の計画・見解を聞いてリスクの観点で検討したい。

(所見)南北500mの遮水壁は一挙に稼動できるものではなく、凍結進捗過程で隙間を流れる地下水流速は早まる筈であり、遮水域と未遮水域が混在した場合に水位制御をどうするかは示されていない。南北10mのパイロット遮水壁から50倍のスケールアップになる。)

今回は3時間の会議時間が、1時間早く終了するという異例の展開になった。

次回開催予定: 2月15日(水)9:30から

以上

 

 

 

 

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