事故発生以来、焦眉の課題となっていた汚染水問題も、ようやく落ち着きを見せ始めた感がある。高濃度に汚染されていた滞留水も、試験運用中とはいえ多核種除去設備や他の汚染水処理設備をフル稼働させることで、ストロンチウム90などを含む多くの放射性物質を取り除いた状態になっている。
とはいえ、滞留水自体は増加していることに変わりはない。水の汚染状態が多核種汚染から、トリチウムが残留した状態となり、そして水量は増え続けている。今後は、汚染水の流入自体を防ぐ「地下水バイパス」や「凍土方式遮水壁」の成功が待たれる。
さらに、膨大に残る滞留水の中から、「原理的に除去は困難」といわれているトリチウムを除去できるのかどうかが大きな課題として横たわっている。この問題が解決しないことには、現在70万トン以上がたまっている滞留水は、永久にタンクに残留したままとなる。
レポート本文:201509-02-osensui.pdf